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玲宵リオン。得体の知れぬ化物。
それ以上でも以下でもないが、それだけに底が知れない。
正体不明、特定の姿を持たぬなにか。
その"なにか"は、触れてはいけない人智を超えた存在かもしれない。
かつて目撃してしまった可哀想な人間が、壊れてしまったように。
……尚、すべてが不明なため、真相も不明のままである。
ただ──おそらくは。高位の存在の何かだろう、ということだけは、どこか察しがつくかもしれないが。
他者や概念に全く興味がなく、「飽きた」という理由だけで行方を晦ます上に誰のことも記憶しない。
玲宵リオンが記憶する物事は歌のみであり、歌に関わらない個人的なことなどは何一つとして覚える価値さえも見出さず、立ち去ったが最後、何もかもがそこで途絶える。
人気絶頂の歌姫も、路上で歌っていたシンガーソングライターも、いつしか姿を見せなくなった歌を歌う誰かは、玲宵リオンの過去の姿かもしれない。
歌う化物は、いつまでも。
世界が終わって、歌が生まれなくなったとしても。
かつての歌を、美しい旋律を歌いながら、次の歌が生まれる日を待っている。
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