かつて展開していた創作ストーリーについてのゆるい文。
あんまり言葉にせずふわっとしたニュアンスで描いていた内容の詳細です。
音源配布などと共に、大型ユニット「雨弓晩餐会」、青朽葉様管理「空の紅色」の音源様たちと交流していくうちに月劫アサトに生じた変化、葛藤等を描いていたストーリーです。
※暴力表現を含みます。
また、実在の病名を使用しておりますが、当該症例の患者様を傷つけたり差別する意図はございません。
あくまでフィクション表現として捉えていただけると幸いですが、不快な思いをさせてしまった場合には謝罪をさせていただきます。
こちらのストーリーは紅羽管理の音源以外には一切公式設定としての関わりはない、言わば二次創作のようなものです。
こちらのストーリーに関し、他管理者様及び他管理者様の音源に迷惑がかからないようお願いいたします。
元は穏やかで優しくどこかのんびりしている普通の高校生だったが、ある日玲宵リオンを目撃。
生まれつき視力が非常によく、霊的なものからそれ以外のものまで、本来見えないようなものを見てしまっていたのが災いし、リオン本人さえ誰も知らない常人であれば到底耐えられないようなその姿を見てしまう。
結果として正気を失い、意思疎通の一切が不可能となった。
その後興味を持ったリオンによって雑に存在に干渉されたことにより、半分くらい人間でない何かになると同時に多少持ち直し、自我があやふやな状態で放浪。言い知れぬ恐怖による破壊衝動に苛まれ続けながら過ごしていた。この頃の記憶は一切思い出せないらしい。
数年を経て幾分か自我を保っていられる時間が多くなり、
なんとか必死に言葉を覚え直したりしながらどうにか暮らしているうちに雨弓に拾われ、優しくしてもらったり酒を飲まされたりしつつ、なんやかんや今までよりは穏やかに暮らし始めた。
徐々に暮らしに慣れ、人として接してもらえることでかなり精神面に改善が見られる。
ただ、以前から苛立ちや破壊衝動を抑えるための手段として行っていた依頼殺人にかなりの後ろめたさを覚え始めたのもこの頃。
優しくしてくれる人のいる心地の良い生活と、そうした人たちに自分は悪事を隠しているのだという感覚の間で揺れ、やがてそのストレスは副人格を生み出すことに繋がる。
記憶が妙に飛んだり、した覚えのないことをしていたりと日々に違和感を覚え始める。
そして、手遅れになる。
主人格のストレスが大きくなればなるほど、副人格でいる時間が伸びてゆく。
人格間の意思疎通は不可能。どうにか主人格のストレスを少しでも緩和できないかと人を殺める回数も増え、それが逆に主人格を苦しめる。
副人格が主人格を思って行う行為なのにも関わらず、主人格に意図は伝わらず、ただ恐怖と自分の把握できていない殺人への罪悪感がどんどん募ってゆく。
外から見る分には、今までに比べると非常に落ち着いた様子をしている。しかしそれは副人格が表出し続けていることによるもの。いつしか、主人格が目覚めることもほぼなくなってしまった。
副人格は主人格に体を返したいのに、目覚めないままであることに焦る。本来求められているのは主人格であり、「自分は一時期の繋ぎでしかない、自分では意味がないのだ」と思い続ける。
二人は互いの意図が伝わらないまますれ違い続けた。
その間に友人との不和もあったが、共通の友人たちの手引きもあり和解。「自分は自分でもいい」という思いを抱くことができるようになり、少し心に余裕ができる。改めて「自分」と向き合い直すことにする。記憶が飛びやすいからとつけていた日記に、「自分」の文字があったことから、書き置きを残すことで長い時間をかけた交換日記を開始。互いに思いを伝え合うことに成功。
「自分を思ってやっていたことなのなら、受け入れる。ただ、罪を負うべきで、これ以上手を汚したくはない。」「消えも、返しもしなくていい。自分のためにいてくれたお前を、大切にしたい」
「やりたくないことをやってしまっていたこと、本当に申し訳なかったと心から思う。それ以外を知らなかった。何をしたらいいのか」「消えたくない気持ちはあるが、自分の役目はきみを楽にすることだから」
そんな意図を伝え合い、結論として「元凶のリオンと話をする」ことに。
どうしようもない破壊衝動を取り除くことはできないのかの交渉と、リオンに対して嫌いたいわけではないという意思を伝え、最初は責任取れないと突っぱねられるもしつこく挑み続ける。
やがて折れたリオンに
「何もかも都合のいい方法などない、別の問題が発生することは間違いない」
「穏やかな暮らしも、全てを失うかもしれない」と伝えられる。
それでもいい、全ての罪はどれだけ掛けてでも贖う。今、穏やかに笑い合える現在が欲しいと願い、交渉が成立。リオンによって存在を彼らに寄せられる。結果、一ヶ月ほど昏睡した後に覚醒。精神性が人間から大きく離れたことにより、恐怖が根底にある衝動の消滅を果たす。
ストレス性の症状であった人格の解離もまた消滅となるが、きちんと話し合っての統合と称した方が適切。そのため副人格の記憶も引き継いでいる。
本人が重きを置いていた、私利私欲で人を殺めたこと、大切な友人たちへの生涯をかけて吐き続ける嘘に対する罪の清算は、「穏やかな今を求めた代償に永遠を生き、やがて確実に孤独になること」で行われる。
何があっても死ぬことは叶わない。全てが滅んだ世界でも、ただ一人歩み続ける存在。
それでもいいと決意し、友と認めた者のことをいつまでも忘れずに、前を向き続ける者。